【9タイプ別】できない部下への効果的な指導法

出来ない部下の扱いが難しい

このご時世だし、なんとなく「怒る」ことにも抵抗ある

なんか効果的で、上手な指導方法はないかな。

このようなことでお悩みの方へ向けた記事となります。

この記事を読むメリット
  • 出来ない部下に対する、上手で効果的な指導法が分かります。
  • タイプ別に紹介しているので、その人に合った指導法が見つかります。
  • 出来ない部下に対する、自分の気持ちを見直すことができます。

出典:残念な部下を戦力にする方法|坂井伸一郎(著)|フォレスト出版

目次

「できない部下」というラベリング

「できない部下」にも、職場以外のどこかで「できる」分野があります。

そもそも「できない部下」というラベルは、あなた側の視点で一方的に相手に貼り付けたもの

あなたは自信を持って、自分のことを「できる上司」と言えるでしょうか。

仕事において、

  • 0から1を生み出す(新しいアイデアの創造)
  • 1を100にする(アイデアを形にする)
  • 100をキープする、また120にする(いい状態を維持する)

これら全てが得意な人より、得意不得意が分かれる人のほうが多いはずです。

人はただ単に「自分の求めにそぐわない振る舞いをする人」を「できない人」と評価してしまいがちです。

「できない部下」に指導する際は「仕事なんだからできて当然」という常識からいったん離れ、まずは自分自身の「できの悪い経験」を思い出してみて下さい。

「できない部下」に足りないもの

とはいえ「給料が発生する仕事」。ある程度は求められた通りの振る舞いをしてもらわないと当然困りますよね。

「できない部下」に足りないもの、それは「理解する力の弱さ」です。

①上司が説明する → ②部下が聞く → ③部下が作業する

大体が、①と②の間がうまくいってないパターンです。あなたが出した業務の指示を、部下が正しく理解していないのです。

説明は、仕事に慣れた人には十分理解できるものでも、慣れてない人は正しく理解するのが難しいです。正しい理解が出来なければ、当然、正しい作業にもつながりません。

なので、より具体性をもたせたり、曖昧な表現を使わないようにするなど、伝え方をひと工夫してみましょう。

テレビ業界の例

別の現場に、すぐに届けなければならない書類がありました。

ここで部下に、「急ぎ」で送るよう指示するときの言葉。

NG「これ、〇〇の現場に急ぎで送ってもらえる?」

OK「これ、〇〇の現場に急ぎで送ってもらえる?速達じゃなくて、バイク便で!」

テレビ業界では「急ぎ」=「バイク便」だそうですが、慣れてない人にとってはどう考えても「急ぎ」=「速達」。このようなズレは、伝え方に具体性をもたせることで事前に回避できます。

しかし、②と③の間が上手くいかない「正しい理解が出来ているのに、アウトプットする力に欠けている」、そんな人も少なくはないようです。

「できない部下」へのNG行動

できない部下へのNG行動、それは、

「言ってもわからないんだから、言うだけエネルギーの無駄。」
「どうせまた後で教えてって言われるよ。どうせ1回で理解できないんだから。」

という理由で、教えることや、指示するのをやめ、見放すことです。

理由として、このようなネガティブなスタンスは、相手にそのまま伝わるからです。

心のどこかで「どうせまたミスするんだろ」みたいな意識があると、それが相手の心を固く閉ざしてしまい、再びミスを連発させる要因になることもあります。

頑張って意識を変え、寄り添ってあげましょう。「苦手同士」でも、どちらかの意識が変わると、関係はスムーズになるものです。

「いいところ」を探す

冒頭の声でもあったように、「怒り」の感情を表に出すことは好ましくありません。

指導の際は、ネガティブなことよりポジティブなことの方が記憶に残ります。

とにかく褒めて、そのうえで改善点を指摘しましょう。

料理人の例

「憧れの料理人」という夢を叶え、入社してきた部下がいました。

しかし、その部下が10食チャーハンを作っても、美味しく出来るのは1食だけでした。

ここで部下にかける言葉。

NG「10食分作って、9食分が不味い。それじゃダメだよ。もっと練習しなきゃ。」

OK「全体的に手際よく作れてていいね。でも、もう少し味が薄いほうがお店の味に近づくと思う。もったいないからさ、次は調味料の量に気を付けてみようか。」

といった感じで、

  1. ほとんどダメでも、1つ、いい所を盛大に褒める
  2. 部下自身に「不慣れなりにできることがある」ことに気付いてもらい、安心させ、自信をもたせる
  3. 否定するのではなく「こうするともっとよくなる」「惜しい」「もったいない」という言葉を駆使し、改善点を教える
  4. 部下が指摘を受け入れたところで「思い出したかのような言い方で」、他の改善点も教える

最初から否定的な指摘をすると、何度練習を重ねても、失敗を繰り返すようになってしまいます。

タイプ別対処法10選

①社会常識がないタイプ

時間を守れない、挨拶ができない、返事ができない、言葉遣いがおかしい、といった社会常識に欠けるタイプの部下。これは社会常識以前に、生活習慣に問題がある場合が多いです。

体に染み付いた生活習慣を直すのは、年齢が上がるほど困難。「いい大人がなぜ出来ない!?」と怒鳴るのはもう古い考え方。

対策としては、指摘の根本や根拠をしっかり伝えることです。遅刻を例にすると、

遅刻の例

NG「時間は守らないといけないよ。」

OK「時間は守らないといけないよ。他の人の時間を奪っていることになるし、その時間も給料が発生しているからね。」

その根本となる部分や、時間厳守が意味することの本質を伝えましょう。「どうすれば遅刻しなくなるか、考えて対策とってみよっか」みたいに、伝え方にも工夫も忘れずに。

それでもミスを繰り返すようであれば「次にミスしたら、それ以上繰り返さないよう、こちらの指示に従った改善に取り組んでもらうよ」という感じで、具体的な対策を提示し、実施させましょう。

②忘れっぽいタイプ

対策としては「紙に書く」に尽きますが、「どうすれば忘れないようになるか」を部下に考えさせることが大切です。

紙に書いても、その紙に気付かなければ意味がありません。

であればシンプルに「大きな紙に、大きく太く文字を書き、誰にも指摘されなくても絶対に気付く場所に貼る」という対策が適切でしょう。

筆者も会ったことがあるのですが、忘れっぽい人って、本当に信じられないくらい、すぐ忘れます。

「数分後に」とか「明日の朝に」といった仕事に関しては、「そこまでやる?」とツッコまれるくらい、その場ですぐメモを書き、あとで必ず気付くよう対策してもらうことです。

③ずる賢いタイプ

言い換えると「自分の非を認めず、ごまかそうとする」タイプ。本当によくいますよね。

対策としては「ミスを認めたうえで素直に謝罪し、対応する大切さを伝える」ことです。

研修会の例

上司「今日の研修会、どんな事メモった?」

部下「そっスねー。〇〇には〇〇が必要っていうところが印象に残りましたねー。自分も〇〇しなきゃなって思いましたねー。」

上司「いや、そうじゃなくて…どんな事を”メモしてたか”って聞いてるの。」

上記は可愛い例です。

しかし、自分のミスや非を隠しながら、相手が求めている本質から逃げるようにその場をしのぐ癖のある人に対しては、最初のうちに小さな嘘やごまかしの芽を摘まないと、後々になって不正行為などの大きな問題になりかねません。

少しでも「おや?」と気付いたら放置せず、

「今後役立つ貴重な知識になるから、次回からメモは取ろうね。あと、メモ取ってないなら『取ってないっス、すいません!』って正直に言ったほうが、印象はよくなる気がするよ。」

みたいに、早めに正すことが大切です。

④やる気がないタイプ

仕事に対する温度差にギャップがあるタイプです。

超重要なタスクの例

超重要で、今日中に終わらせなければならないタスクを、部下に任せた。

部下は終わったか否かの報告もなく、時計が23時を過ぎたあたりで突然、帰る準備を始める。

上司「今日の〇〇、終わったの?」

部下「いえ、終わってません。」

上司「え、終わってないのに帰んの?!」

部下「え、はい。終電の時間なんで。」

無責任すぎて、怒鳴りたくなる上司の気持ちに共感です。

この場合「超重要で、今日中に終わらせなければならないタスク」なので、

  • たとえ泊まり込みでも終わらせなければならないタスクであること
  • 任せられた仕事は、最後までやり遂げなければならないこと
  • 上司や仲間に助言を求めることの大切さ

を伝えましょう。

「自分がやらずとも、誰かがやってくれるだろう」と、重要な仕事だと分かっていても、自分では動かない「当事者意識ゼロ」な人もいます。

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⑤こだわりが強いタイプ

極度の完璧主義。

細部にこだわりまくり、時に手を動かさず思索にふけり、それを指摘しても「お客様のためにいいものを提供したいと思って仕事をしているから、そう簡単に妥協はできない」と開き直ってしまう。

このようなタイプへの対策としては、「その熱意と時間を、会社の売上を伸ばす事に注ぐ」ように促すことです。

こだわりが強い人への言い方の例

NG「そんな意味ないこだわりに、どんだけ時間使ってんの?!」

OK「お客さんのために、いいものを作ろうと、いろいろ考えてくれてありがとう。んじゃさ、ちょっとその熱意とか経験を、会社の売上に直結する〇〇の部分に使ってみるのはどうかな?」

こだわりが強い人の傾向として「自己評価が低いこと」「小さな失敗に意識を奪われがちなこと」があります。

「そんなこだわり意味ない」と否定をすると、その人の視野を狭め、意地になり、他の道や選択肢を閉ざすことにつながってしまいます。

⑥とにかく否定タイプ

優しく指摘しても「そうなんですけど…」が口癖。何事にも否定的で、些細なこともネガティブに捉える、負のエネルギーをまとったような、そんなタイプ。

対策として、下記が有効です。

  • まずは部下が発する負の姿は、あくまで一面に過ぎないと受け止める。その部下の性格や性質と捉えないこと。
  • そのうえで、その部下の好きな映画、好きな本、好きな有名人など、その部下の中にあるプラス思考のイメージを借りること。
とにかく否定タイプの人への話し方例

失敗を引きずっている、ネガティブで否定的な部下への接し方。

まず「(その部下は普通にもっと笑うし、明るい。ネガティブで元気がないのは、あくまでそういう一面でしかない。)」と捉える。

ちなみに、その部下の憧れは、ホリエモン。

上司「この状況をホリエモンが見たら、なんて言うだろうね?」

部下「んー、『悩むヒマあるから悩むんだよ。そんなヒマあるならもっと動けよ』って言うでしょうねw」

「負のオーラ、ネガティブ思考」が周りに及ぼす影響を伝えるのも大切ですが、上記のように、その人の「好き」なものから、プラスのイメージを借りる方が効果があります。

そのためにも普段のコミュニケーションから、その部下の好みを知っておきたいものです。

⑦気が利かないタイプ

文字通りの指示にしか対応できない、自ら考えて動けないタイプ。

会社で、来客対応のあとに「机拭いておいてね」と言われたら「机を拭く」しかしない。机の下にあるゴミがあるのに拾わない、もしくは気付かない、といった具合です。

対策としては「タスク化する」「タスクを標語化する」の2つが有効です。

来客対応の後の机の例

来客対応の後にやらなきゃいけないのは、

  • 机を拭く
  • 椅子を戻す
  • 飲み物を下げる
  • 忘れ物点検
  • ゴミ点検

これを標語化し、「つ・い・飲み・忘れ・ゴー!」のように覚えさせる。

「イカのおすし」を聞いたことはないでしょうか。

イカ=行かない
の=乗らない
お=お声を上げる
す=すぐ逃げる
し=知らせる。

これが標語化です。全国の小学校に広く知られている言葉です。

誰にでもわかりやすく、具体的な行動を促すという意味で、標語化は重要です。

⑧優先順位がおかしいタイプ

「何もそれ、今一生懸命やらなくても…」

仕事の優先順位の付け方がおかしく、要領が悪いタイプ。

対策は、

  • 全体→部分の順番で仕事を進めること
  • やるべきこと→やりたいことの順番で仕事を進めること
  • 苦手なこと→得意なことの順で取り組むこと

です。

仕事は順番や流れが重要であることを、きちんと理解できていない人は、思いの外多いです。その原因は、全体がちゃんと見えていないからです。

自分に与えられた仕事を行う、担当している仕事をこなす。これも大切ですが、1つの大きな仕事になるかというと、そうではありません。

自分が担当する仕事と、全体で動いている仕事。この2つの歯車がうまく噛み合って初めて、仕事として機能します。

これについて、繰り返し教えてあげることが大切です。

⑨コミュニケーションが下手タイプ

「報連相ができない」「進捗状況を伝えない」「できないと言えない」といった、コミュニケーションが得意でない方がいます。

会社での出来事の例

部下から「どうしても今日中に提出したい書類があるので、18時まで待ってていただけませんか?」と連絡が入った。

定時は17時だけど、OKした。

しかし、18時を過ぎても部下は来ない。

18時20分頃「あと10分で行きます」とだけメールが入った。

しかし、18時30分になっても一向に部下は来ない。

しびれを切らして何度も電話をかけたら、ようやく電話に出て、

「急な打ち合わせが入って、行けなくなりました。」

と謝罪もなしに、やたら機嫌悪そうに話していた。

相手の時間を大きく奪っているわりに、謝罪どころか不機嫌。最悪ですね。

こういった部下への対策は、

  • できるだけ早く返事をしなければならないこと
  • スケジュールは、自分の都合ではなく、相手の都合を優先する
  • 目上の人には、指定ではなく、依頼という形にすること
  • 予定が変わった地点、遅れそうな地点ですぐ連絡すること
  • 謝罪が最優先であること

これらを手取り足取り教える必要があります。

一つの事柄に対し、どのようにメールをするか、どのように電話をするか、具体的な例文や会話例を一緒に考えるくらいのレベルで教えてあげましょう。

まとめ

以上「できない部下への効果的な指導法」でした。

「いや、なんでそこまでしなきゃいけないの?」という感じた方も多いはずです。

しかしこれからの時代、それが上司・先輩の責務の一つになりつつあります。

「できない部下」を戦力にするため、ぜひ諦めず、見放さず、粘り強く指導してあげて下さい。そうすればきっと「頼もしい部下」に変身してくれるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が「できない部下に悩んでいる方々」にとって、少しでも参考になれば幸いです。

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