一生役に立つ、社会人の「役割」と「スキル」

出典:早く結果が欲しいなら、上司の役に立ちなさい|前山都子(著)|白夜書房

目次

社会人に求められる3つの「役割」

①上司のサポート(フォロワーシップ)
②後輩育成とチームの雰囲気作り(リーダーシップ)
③他部署や取引先との関係構築(パートナーシップ)

①上司のサポート(フォロワーシップ)

てっとり早く成果を出したいなら、まずは「上司の役に立つ」こと。

そのために必要なのが、フォロワーシップです。

「上司の立場から仕事を見つめる」ことで、成長につながるからです。上司の役に立つには、まずは上司がやっていることを理解しなければならないからです。

そのうえで課題を見つけ「ここが問題だと思う」「こうしたらもっとよくなる」など判断し、上司が気付いていないことを指摘し、意見を言う。ここまでできるようになると完璧です。

まずは上司の役に立つことを目指しましょう。

②後輩育成とチームの雰囲気作り(リーダーシップ)

簡単に言い換えると「周囲を巻き込む力」。リーダーシップは役職の付いた人が発揮すべきと思いがちですが、仕事で大きな成果を挙げたいなら、新人であっても大いに身につけたいものです。

成果を上げるためには、周りの人を巻き込む力が必要があるからです。そのため、周囲の人や取引先を観察し「どうしたら協力してもらえるか」を考える必要があります。

リーダーシップとは、集団の中の特定の人が、目的を達成するためにメンバーに影響を与えること。言うなれば、飲み会の幹事も立派なリーダーシップ。

リーダーシップを発揮するためには、周囲を観察すること。所属している組織が「自分に何を、いつまで、どのくらいまでやることを期待しているのか」というニーズを感じとること

また、パートさんやバイト、または後輩など立場の強くない人が悩みを抱えていないか観察する。その問題や課題を上司に報告することも立派なリーダーシップです。

後輩と上司の間に立って調整を行うなど、上司の意見をみんなに伝える橋渡し役になれれば、双方からの信頼を得る事もできます。

③他部署や取引先との関係構築(パートナーシップ)

パートナーシップは、他の部署や取引先と協力して、いい仕事を成し遂げる能力。つまり「周りの人たちといい関係を築くこと」

言うまでもなく、他の部署の人や取引先を関係がギスギスしていたら、いい仕事をすることはできません。どんな仕事も1人では成り立たないので、日頃から関わる全ての人たちと積極的に良好な関係を築こうと努力する姿勢が大切。

まずは社内に「知りたい時に、知りたいことを教えてくれる人」をつくることが重要。日頃からきちんと挨拶したり、積極的に声をかけ、仲良くなることを目指して下さい。

とはいえ、与えてもらうだけの姿勢ではいけません。他部署の人が欲している情報を進んで提供するなど、自分の出来る範囲で精一杯相手に尽くす(Give)の姿勢を持つことも大切。

仕事で必要な3つの「スキル」

①テクニカルスキル
②ヒューマンスキル
③コンセプチュアルスキル

①テクニカルスキル

業務遂行に必要な、知識や技能などのスキル。

どんな業界でもその道のプロとして働くわけなので、身につけるべき基本です。仕事ができない人の8割は、原理原則、つまり基本的な仕事のやり方が分かっていないからだと言われているくらいです。

テクニカルスキルを身に付けるために最初にすべきことは、最初に与えられた基本的な仕事を、しっかり言われたとおりにこなすこと。最初から自分流のやり方で進める人もいますが、まずは「守破離」の考え方でいきましょう。

先輩が応用的なやり方は時として「俺もマネできるんじゃ?」と思いがちですが、それを表面的に真似しても業務遂行能力は身につきません。

まずは調子に乗らず、教わったことを繰り返し忠実に再現して、基本を頭と体に叩き込みましょう。

②ヒューマンスキル

良好な人間関係をつくるスキル。

コミュニケーション力、後輩指導力、マナー情熱、人間的魅力などの要素があります。前述したリーダーシップもこのスキルのひとつ。

意識して欲しい「ヒューマンスキルの要件」は下記の5つ。

  1. コミュニケーション力
  2. ヒアリング力
  3. 交渉力
  4. マナー
  5. 後輩指導力

1.コミュニケーション力

特に大事なのが「報連相」。「報連相」をもらって、ミスやトラブルを最小限にすることも上司の仕事のひとつ。仕事に関することは決して隠さず、ささいなことでも必ず伝えること。

2.ヒアリング力

とにかく「人の話を最後まで聞く」こと。人の話をさえぎらずに最後までしっかり聞くことで、相手の潜在的なニーズまで捉えることができます。

3.交渉力

諦めてすぐ引っ込めるのではなく、お互いが合意できるポイントを探り、うまく話を成立させること。例えば相手が難色を示した時「何に引っかかっているのか」「何が原因で躊躇しているのか」見極めること。

交渉して納得してもらうために意識することは「相手にとっての価値は何なのか」です。

4.マナー

あいさつ、表情、服装が第一印象を決めます。また姿勢、名刺交換の際の振る舞いなどでもレベル感が見抜かれます。マナーの良し悪しはそのままその人の印象になり、その後の仕事にも大きく影響します。

マナーは「相手に対する思いやり」。マナーを甘く見るのは、相手を甘く見るのと同じこと。

5.後輩指導力

たとえ教育担当でなくても、後輩が入ってきたら「今どんな状態で、どんなことに困っているか」を常に気にかけてあげることが大切です。

後輩が悩んでいたり困っていたら、直属の関係でなくても、自分の仕事と直接関係なくても、声をかけて話を聞いてあげるのは人として立派なこと。自分のわかることなら教えてあげればいいし、分からなかったら上司に相談する。

後輩を成長させようと考えて行動することは、苦労も伴うものの、確実に自分自身の成長に繋がります。

③コンセプチュアルスキル

物事の本質を見極めるスキル。

コンセプチュアルスキルを備えている人はどんな人か?それは「アンテナが立っている人」「クエスチョンマークを立てられる人」。

身のまわりで起こっていることを「スルーする」か、「自分ごととして考える」かが、このスキルの有無の違い。例えば職場の廊下にゴミが落ちていたとして、これを

スルーする人 = 論外
拾って捨てる人 = 一般の人
拾って捨てて、ゴミが落ちる原因とその対策を考える人 = コンセプチュアルスキルのある人

となります。

人はクエスチョンマークが立つと、物事を考えます。現状で、仕事や職場に満足できないことはたくさんあるはず。それに気づいて、疑問に思い、改善のための方法を考えることが大切です。

まずは「好奇心」を持って、周りを眺めてみること。

働くとは「『はた』を『らく』にする」こと

はたらくの語源は、「はたをらくにする」と言われています。

「うまく周りをサポートできているか」「信頼されているか」「自分の仕事で周りをラクにできているか」を常に意識すること。

周りの人をラクにする。まさに仕事とはそういうもの。そのような考えを持って仕事をする人には、仕事がたくさん舞い込む。

「ありがとう」が言われる仕事になっているか

ちょっと綺麗事ですが「ありがとう」という言葉は仕事において最も重要な要素。

世の中の仕事はすべて、お客さんから「ありがとう」を言われるために存在します。

また「ありがとう」はモチベーションにもなり、働く人の精神をも支えます。

もし、ミッションを明確に提示していない会社に所属してるなら「一つでも多くの『ありがとう』をもらう」を目標にしてみては。

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