E資格とはどんな資格?取得のメリットや難易度・勉強時間を紹介

悩む人

E資格ってどんな資格で、とるとどうなるの?
自分でも挑戦できるような資格なのかな。

このような疑問をもつ方に向けた記事になります。

この記事を読むメリット
  • E資格の概要や出題範囲、具体的なメリットがわかります。
  • 難易度、勉強時間も含め、「自分が受けるべきか否か」が見極められます。
目次

そもそもE資格とは

E資格というのは、AIエンジニアの知識や実装能力を証明できる民間資格です。

主に

  • ディープラーニングの基礎理論
  • 数学(線形代数・確率統計・微分)
  • 機械学習
  • 画像認識や自然言語処理

など幅広い知識が問われます。

合格することでAI人材としての専門性をアピールできるほか、AI転職やキャリアアップで役立ったりします。

概要をまとめると、以下のようになります。

資格名称E資格(JDLA Deep Learning for ENGINEER)
区分民間資格
運営元一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)
出題範囲深層学習の基礎理論
数学(線形代数・確率統計・微分)
機械学習
応用(画像・自然言語処理など)
受験条件JDLA認定プログラムを修了していること(修了証の提出が必要)
受験費用一般:33,000円(税込)
学生:22,000円(税込)
会員企業:27,500円(税込)
出題される問題数約100問(年度により変動あり)
制限時間120分
合格率約63~78%
受験方式全国の指定会場から任意の会場を選択
試験日程年2回(2月・8月)

【ポイント】E資格には受験条件がある

前述の表にもありますが、E資格には受験条件があります。

その受験条件とは、「JDLA認定プログラムを修了していること」です。

つまり、これを修了していない方は、E資格を受けることすらできません。

ちなみにこの「JDLA認定プログラム」は、難易度や受講金額がまちまちです。

なぜなら、JDLAと提携しているさまざまなスクールや企業が、各々の形式で提供しているものだからです。

そのJDLA認定プログラムって難しいの?

難しくはないのでご安心ください。

JDLA側は全講座を合算した正式な「修了率」を公表していません。

しかし、各スクールや企業が開示している「修了率」の数字を拾うと おおむね 90%後半 に集中しています。

たとえばAI研究所の短期集中講座は「修了率 99.2%」と案内している他、その他のセミナーや講座でも同等の修了率が謳われています。

E資格の認定プログラムは全体的に高額ゆえ、提出レポートやサポートが手厚く、途中で辞める人が少ないため「ほぼ全員が修了証までは到達する」のが実情と考えて差し支えないでしょう。

G検定との違いは?

G検定との違いは、主に以下のとおりです。

  • 受験条件があるかないか
  • 初心者向けか上級者向けか

両者の違いを一覧表にまとめます。

G検定(ジェネラリスト)E資格(エンジニア)
資格名称G検定
(JDLA Deep Learning for GENERAL)
E資格
(JDLA Deep Learning for ENGINEER)
区分民間資格民間資格
運営元一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA)一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA)
出題範囲人工知能の概要・動向
機械学習の概要
ディープラーニングの概要・要素技術・応用例
AIの社会実装
AIに必要な数理・統計知識
AIに関する法律と契約
AI倫理・AIガバナンス
数学的基礎
機械学習
深層学習の基礎
深層学習の応用
開発・運用環境
受験条件制限なし(誰でも受験可能)JDLA認定プログラムの修了
受験費用一般:13,200円(税込)
学生:5,500円(税込)
一般:33,000円(税込)
学生:22,000円(税込)
会員企業:27,500円(税込)
出題される問題数約100問(選択式)約100問(選択式)
制限時間120分120分
合格率約60〜70%約63〜78%
受験方式CBT方式
(オンラインで自宅などで受験)
全国の指定会場から任意の会場を選択
試験日程年6回(1月・3月・5月・7月・9月・11月)
※3、7、11月は2日間開催
年2回(2月・8月)

E資格の試験範囲・主な出題内容

主な出題範囲と内容をまとめると、以下のようになります。

数学的基礎確率・統計
情報理論
機械学習機械学習の基礎
深層学習の基礎順伝播型ネットワーク
深層モデルのための最適化
深層モデルのための正則化
畳み込みニューラルネットワーク
リカレントニューラルネットワーク
Transformer
汎化性能向上のためのテクニック
深層学習の応用画像認識
物体検出
セマンティックセグメンテーション
自然言語処理
生成モデル
深層強化学習
様々な学習方法
深層学習の説明性
開発・運用環境エッジコンピューティング
分散処理
アクセラレータ
環境構築

引用:JDLA公式サイト

E資格では深層学習や実装・運用、さらに開発に関する知識など、範囲は広いです。

さらに画像認識や自然言語処理、生成モデルといった技術も含まれているので、合格するとAIエンジニアとして十分な知識があることをアピールできます。

E資格をとるメリット

E資格をとるメリットは、「AI企業への就職・キャリアアップ転職に強くなれる」ことに集約されます。

理由は、E資格はAIエンジニアとしての「実装力」が証明できるからです。

たとえば未経験の方が取得すれば、新しくAI企業に就職できる可能性が大きく上がります。

また、経験がある方が取得すれば、年収を上げるためのキャリアアップ転職がしやすくなります。

しかも今後は、AI市場と需要がさらも拡大していく可能性がとても高いです。

ゆくゆくは「E資格所有者優遇」の求人が増えていくことも、大いに考えられます。

E資格によって収入はどれくらい上がる?

あくまで概算にはなりますが、おおよそ年収582.3万円くらいは狙えると考えていいでしょう。

厚生労働省が運営するサイト「job tag」によると、一般的なAIエンジニアの平均年収は558.3万円です。

これにE資格による資格手当(月々20,000円と仮定)を加えると、年収582.3万円になります。

ただ企業によっては、報奨金2~3万円の支給のみで終わったり、そもそも報奨金がないケースもあるので、一概にはいえません。

また収入は、スキルと実績の有無、年齢によっても変わってきます。

E資格の難易度

E資格の合格率は、毎年おおよそ65~75%となっています。

参考:JDLA公式サイト

数字だけ見るとカンタンそうに見えますが、E資格の受験者は理系大学出身者やAI業界経験者が多く、その方たちのおかげで合格率が全体的に上がっているのも事実です。

文系出身者や未経験の方が挑戦すると、極めて難しいことが実感できると思います。

E資格に受かるために必要な勉強時間

未経験の場合、少ない方でも150~200時間は必要です。

150~200時間というのは、約5~6時間の学習を1ヶ月間休みなしで続けると実現します。

もし会社員として働きながらこれを続けるとなれば、2~3ヶ月以上はかかるかもしれません。

とはいえ、個々のペースや集中力によるので一概にいえないです。

E資格に挑戦すべきかどうかの見極め

悩む人

試験範囲とか金額とか、勉強時間はわかったけど…
自分はE資格に挑戦すべきなのかな…迷う。

そのように悩んでいる方に向け、ここではE資格に挑戦すべき人としないほうがいい人をそれぞれ紹介します。

挑戦すべき人

  • E資格が、本業や転職の武器になる人
  • もしくはゆくゆく、そのビジョンが明確に描けている人

は、挑戦したほうがいいです。

これに該当するなら、高い受験料と膨大な学習時間をリターンへ換算しやすいからです。

  • 「社内でAI案件が控えている」
  • 「採用要項に”E資格保有者優遇”と明記する企業へ転職したい」

など合格後の使い道が直結しているならぜひ挑戦すべきでしょう。

挑戦しないほうがいい人

  • E資格を活かすビジョンが不明確な人
  • とりあえずAIに強くなりたい人
  • これからの流行に乗り遅れたくない人

といった漠然とした動機しかない人は、E資格への挑戦はしなくていいと思います。

E資格は未経験から挑戦するとなると、膨大な時間とお金がかかります。

目的も決めずに挑戦すると、その時間や金銭面でのコストが回収できず、リターンが少なくなってしまう可能性が高いからです。

とりあえずAIを学びたかったり、AIエンジニアの知識を勉強したいなら、ネットで無料で勉強するほうが有意義です。

どうしても独学が苦手、そして今後の目標が決まっていないのであれば、学習時間短縮を考えてAIスクールなどを活用するのもいい選択肢になります。

AIコースのあるプログラミングスクール
  • TechAcademy:規模・知名度ともにNo1。AI・機械学習・データ分析コースも定評。
  • DMM WEBCAMP:大手DMMグループ。AIはもちろんすべてのコースでポートフォリオ支援がつく。

その他E資格に関連するQ&A

ここでは、上記で紹介しきれなかったE資格に関するQ&Aを紹介します。

E資格の受験者層は?理系出身の人ばかり?

はい、理系出身の人ばかりです。

JDLAは「職種別の合格者数」を公開しています。

※2024年2月のものです

職種合格者数合格率
営業・販売252.88%
企画・調査・マーケティング364.15%
経営・社業全般60.69%
経営企画60.69%
研究・開発37743.48%
情報システム・システム企画22826.30%
生産・製造485.54%
総務・経理・人事70.81%
学生576.57%
その他778.88%
総計867100%

引用:JDLA公式サイト

研究・開発が43.5%、また情報システム・システム企画が26.3%、つまり約7割が典型的な理工系エンジニア職です。

文系寄りの営業・企画などを合算しても1割強にとどまります。

E資格の試験日はいつ?試験会場はどこ?

E資格は毎年2回、2月中旬と8月下旬に実施されます。

2025年、本記事の執筆時点では、

  • 2025年2月21日(金)〜2025年2月23日(日)
  • 2025年8月29日(金) 〜2025年8月31日(日)

に実施されることが決まっています。

ただ詳しい日にちは毎年異なるので、JDLAの公式サイトをご確認ください。

試験会場は全国に約300箇所以上あり、任意の場所を選べます。

ところがJDLAは公式サイトで会場リストを公開しておらず、代わりに以下のサイトが参考になります。

E資格試験会場一覧 AI用語集 – ラビット・チャレンジ

E資格の過去問はどこで見れる?

諸条件があるものもありますが、以下で見ることができます。

ただ上記はいずれも、JDLA公式のものではありません。

JDLAは受験要綱にて「問題の転載・共有を禁じる」としているうえ、講座で使った問題も公開を禁止しています。

E資格に関するまとめ

本記事の内容をまとめます。

本記事のまとめ
  • E資格は、AI実装力を公式に証明できるAI民間資格
  • JDLA認定プログラム修了が条件だが修了率は9割超
  • E資格の合格率は70%前後だが難度は高め
  • 取得メリットはキャリアと年収のアップに役立つこと
  • 挑戦すべきは、「習得後のビジョンが明確な人」
  • 過去問の公式公開は行っていないだけでなく、禁止

E資格は高度なAI実装力を証明できるので、就職やキャリアアップ転職で有利になることは間違いありません。

ですが認定プログラムの習得時間、膨大な勉強時間、そして大きな費用がかかるので、敷居の高い資格として見られることも多いです。

なので漠然とした目標や興味本位でとるよりは、「E資格を武器として活かせる」ことがわかっていたり、取得後のビジョンがしっかり描けている場合にとるべきといえます。

時間とお金のリターンを考慮し、挑戦してみるのがいいと思います。

目次